各業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が問われていますが、DX化を最も加速させているのがIT・通信・情報業界だと言えるでしょう。
IT・通信・情報業界に所属する企業はデジタルネイティブ企業といわれ、デジタル技術やデータ活用を積極的に導入しています。
今回の記事では、IT・通信・情報業界のDXについて詳しく解説していきます。
「IT・通信・情報業界におけるDXとは?」「IT・通信・情報の現状」、そして実際にDXを導入している企業のDX事例もあわせて紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
IT・通信・情報業界におけるDXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)というと、Web会議ツールを導入したりオンライン取引を可能にしたりするデジタル化を指すと考えている人もいるでしょう。
しかしこれは単に業務の一部をデジタル化しただけであり、“デジタルトランスフォーメーション”とは言えません。
“トランスフォーメーション”は本来“変革”という意味、デジタル技術を用いて既存のビジネスを変革することこそが本来のDXなのです。
デジタルトランスフォーメーションの実現すべき形は、企業によって異なります。
もちろんIT・通信・情報業界におけるDXは必要ですが、それよりも期待されているのは、様々な企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する立場だという点です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」という意味です。
デジタル技術やデータ収集などに必要不可欠なのが、インターネットやスマートフォンなどの通信技術であり、これらを得意とするIT・通信・情報業界が各企業と協力してDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくことが重要といえるでしょう。
IT・通信・情報業界の現状
ではDXをサポートすべき立場のIT・通信・情報業界における現状とはどのようなものなのでしょうか。
「携帯電話料金」「通信」「カーボンニュートラル」の3つに注目して解説していきます。
IT・通信・情報業界の現状①携帯電話料金の低廉化
通信業界が取り組んできたのは、携帯電話料金の低廉化です。
スマートフォンの普及により、子供から大人まで多くの人が携帯電話を持つようになりましたが、そこで問題とされてきたのが携帯電話料金の家計負担です。
災害時におけるスマートフォンの重要性は高まっており、特にデータ接続料金の値下げは大きな課題となっていました。
政府による携帯電話料金値下げ政策に応じ、大手キャリアは低料金プランを拡充し、日本のスマートフォン料金は世界と比較しても安い水準になったと言われています。
今後は、デジタル化に必要な5Gに向けた全国の基地局整備が急務です。
5Gの基地局整備には膨大な資金がかかりますが、4Gと比較するとデータ通信量が圧倒的に多い5Gは、DX推進にとって基盤となる通信インフラなのです。
IT・通信・情報業界の現状②通信の民主化
今、特に注目されているのが「通信の民主化」です。
例えば、他の業界でも「デジタルの民主化」は提唱されていて、実際に取り組む企業が増えています。
デジタルの民主化とは、その業務にもっとも精通している現場(非IT現場)の人間自らがITを活用するという考え方で、「(IT部門ではない)自分もデジタルで業務の変革をができる」という意識変革が企業に波及していけば、やがて企業全体の変革が活性化されるというものです。
こうした民主化の動きは、通信業界でも起きています。
そのひとつがDXに欠かせない情報通信技術、特に大容量・大多数接続が可能な5G通信を、他業種である企業が自分の敷地内で運用するローカル5Gの動きです。
ほかにもプライベートLTEと呼ばれる4G通信技術の運用は、従来の公共安全・鉱業エネルギー分野以外の一般企業でも導入が検討されています。
実際に海外では、周波数免許不要の市民ブロードバンド無線サービス制度が進んでおり、さらに5G戦略として大手キャリアでは使用されていない周波数を、産業協IoTに開放する動きが高まっています。
このようにDXの推進は、IT・通信・情報業界の独占的サポートだけで成り立つわけではなく、他業種が参入することでより活性化されると見込まれているのです。
IT・通信・情報業界の現状③カーボンニュートラルの加速
世界的な気候変動問題の解決に向けた、カーボンニュートラルの取り組みも加速しています。
カーボンニュートラルとは、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスの排出を総合的にゼロにする取り組みのことで、具体的には温室効果ガスの排出量削減と森林の保全・強化を指すものです。
このカーボンニュートラルを推進していくにはDXが不可欠であり、IT・通信・情報業界のサポートが必要とされています。
2020年12月に経済産業省が発表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」には、「グリーンとデジタルは、車の両輪である」と明記されており、カーボンニュートラルとDXは対として考えていかなければならないのです。
「IoTセンサーで電力消費量を測定する」「テレワークの推進により、交通手段・オフィスの電力消費量を削減する」「コンビニやスーパーなどの仕入れにAI予測を導入して廃棄処分を減らす」といった取り組みは、すべてカーボンニュートラルにつながるDX事例です。
もちろんカーボンニュートラルへの実績を伴うDX事例ではありますが、企業そのものの業務効率化・コスト削減にもつながる変革でもあるでしょう。
IT・通信・情報業界のDX事例
ここからは、産業のDXをサポートしているIT・通信・情報業界のDX事例をいくつか紹介していきます。
IT・通信・情報業界がどのようにDXをサポートしているのか、自社に活かせるDX事例があるのか、ぜひ参考にしてください。
IT・通信・情報業界のDX事例①ヤフー株式会社
検索サイト・ニュース・動画・天気・メールなど、様々なサービスを展開する「ヤフー株式会社」は、日本企業のDXを推進すべく、データソリューション事業で企業をサポートしています。
ヤフーが提供しているサービスからは、サービス利用者の属性データや行動履歴など、膨大な情報つまりビッグデータが得られます。
そのビッグデータを日本企業や自治体に提供し、購買意向や関心事のデータ分析に活用してもらうのがヤフー株式会社の行っているデータソリューション事業です。
ビッグデータで得られる情報は、顧客のプライバシーに直接かかわるデータであるため、セキュリティ・プライバシー保護は大前提です。
さらに各企業が保有する顧客データを、プライバシー保護を最重視した安全な環境で取り扱い、ヤフーが保有するビッグデータを用いて分析できるデジタルツールも公開しています。
IT・通信・情報業界のDX事例②ソフトバンク株式会社
スマートフォンの販売やモバイル通信事業で広く知られている「ソフトバンク株式会社」は、法人向けのデジタルソリューション事業を展開しています。
例えばLPガスの配送において、予測データを活用した配送計画・配送ルートの構築などにソフトバンクのデジタル技術は生かされています。
今までLPガスの配送は、配達員による勘や経験により、計画とルートを策定していました。
ソフトバンクが提供している「Routify(ルーティファイ)」では、LPガス事業者が保有する顧客のデータと道路状況・天候などの外部データを組み合わせて、LPガス容器内の残量を予測、最適な配送計画と配送ルートを自動で策定できるようにしました。
「Routify」で策定された配送先リストは、スマートフォンアプリに配信され、配達員が最小限の移動で、残量にばらつきが少ない空容器を回収できるようになり、配達業務の省人化につながっています。
従業員のライフワークバランスを考えた「ハイブリッドワーク」は、ソフトバンク株式会社が率先して取り組んでいるDX事例です。
従来の出社型「オフィスワーク」と自宅などで働く「テレワーク」、双方が働きやすい環境を整えることでハイブリッドワークの実現を可能にしています。
具体的には、チャットやWeb会議ツールを使ったコミュニケーションの円滑化、テレワークで発生しがちな孤独感軽減のために、会社や自宅以外のシェアオフィスといった働く場所の選択肢を増やすなど、会社に合ったソリューションの提案に取り組んでいます。
IT・通信・情報業界のDX事例③ニフティ株式会社
光通信などのプロバイダーサービスとポータルサイト「@nifty」のWebサービスを展開するニフティ株式会社は、自動Webs接客ツール「Rtoaster」を導入し、バラバラに管理されていたデータを統合させてCTRやCVRの増加に成功、コンテンツ販売売上の10%アップに成功しました。
今までニフティ株式会社では、プロバイダ契約をする際の顧客属性データと、Webを通じたページの閲覧状況やコンテンツ購入などの行動データをそれぞれ個別管理していました。
これらのデータを紐づけることで、より幅の広いサービス展開ができるのではないかと考えRtoaster導入を決めました。
利用直後から明らかな効果が見え始め、ニフティ株式会社の業務変革を実感できるDX事例となっています。
IT・通信・情報業界のDX事例④KDDI株式会社
通信事業を展開するKDDI株式会社は、法人向けの業務効率化や経営課題解決などに向けたデジタルソリューションを提供する企業です。
テレワークやクラウドなどが普及し、働き方が大きく変わる今、データやデバイスのセキュリティ対策が重要課題となっています。
KDDI株式会社が提供する「マネージド ゼロトラスト」は、働く場所やネットワークの境界を気にせず、企業の資産を保護できるでセキュリティシステムです。
これにより自宅・外出先・海外などでの業務を強固なセキュリティで保護、社内と同じような業務実現を可能にしました。
IT・通信・情報業界のDX事例⑤日本電信電話株式会社(NTT)
総合ICT事業移動通信事業を展開する「NTT」は、労働力不足に悩む企業やリモート型社会への変革実現に向けたDX推進を支援している企業です。
巨大組織であるNTTではビジネスプロセスの可視化が難しいため、独自のエンタープライズアーキテクチャー(EA)を用いて、業務とシステムの最適化を図っています。
また取り扱うデータ量も膨大なため、グループ各社が保有するデータを標準化させ、データ活用のための基本的なガバナンスを徹底するなど、業務・システム両面での変革に取り組んでいます。
またDXは様々な分野で活用可能な手段ではありますが、まずはスモールスタートから導入できるような支援を提供し、DXを持続的にサポートできる環境を整えているのです。
DX化をご検討の方はMabuhayTechへ
様々な業界でDXの必要性が問われていますが、なかでもDXを加速させているのがIT・通信・情報業界です。
デジタルネイティブ企業と呼ばれるIT・通信・情報業界は、デジタル技術やデータ活用を得意としていますが、今彼らに求められているのは、他業種における企業のDXを支援することです。
DXはただデジタルツールを導入すればいいというものではありません。
それらを用いてビジネスモデルそのものを変革させること事が重要になります。
大手キャリア企業やIT・情報に関連する企業では、自社のDXのみならず、日本企業のDX推進をサポートするデータソリューション事業を展開しています。
DXは大手企業が取り組むべき課題ではありません。
まずはスモールスタートから取り組むものであり、人手不足やコスト削減といった課題を抱えた中小企業こそが積極的に取り組むべきなのです。
フィリピンに拠点を置くMabuhayTechは、日本企業のDXを進めるシステム開発に取り組む会社です。
日本のIT人材不足は深刻で、新たなシステム開発にかかるコストが急騰しています。
フィリピンでは国を挙げてIT人材の育成に取り組んでおり、優秀なシステムエンジニアが数多く育ち、日本企業のシステム開発に携わっています。
MabuhayTechは、DXを進めたい日本企業とフィリピンのITエンジニアの架け橋となり、ソフトウェア開発やラボ型開発に取り組んでいます。
DXは小さなことから始め、徐々に拡大していくことが大切です。
自分たちの会社に何が必要なのか、一度MabuhayTechにご相談ください。
DX実現に向けた未来を一緒に考えていきましょう。
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