IT業界で注目されている「オフショア開発」の導入を検討している企業が増えています。
IT人材不足に悩む日本企業にとって、オフショア開発はメリットが多いです。
しかし思うような開発成果が得られなかったり、プロジェクトが失敗してしまう例があるのも事実です。
そこで今回は、
- オフショア開発のよくある失敗事例
- オフショア開発が失敗しやすい4つの要因
- オフショア開発を成功させるためのポイント
について詳しく解説していきます。
オフショア開発導入に対して不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
オフショア開発とは
オフショア開発とは、IT(インターネットなどの情報技術)におけるシステム開発業務やインフラ構築、保守運用などを海外に委託して行うことです。
オフショア開発のメリットは、「IT人材にかかる人件費が安い」「優れたエンジニアをまとめて確保できる」といった点があげられ、これによりシステム開発のコスト削減や短納期などが可能になります。
日本企業に人気のオフショア開発国は、ベトナムやフィリピンなど東南アジア諸国が多く選ばれています。
私たちが拠点とするフィリピンは日本との時差が最も少なく、優秀なエンジニアがたくさん育っていて、日本よりも安い賃金でIT人材を確保することができます。
昨今、日本のIT人材不足は深刻で、今後ますます厳しい状況が予想されています。
オフショア開発は日本のIT業界の未来において、重要なカギとなります。
オフショア開発のよくある失敗事例
プラスな面ばかりが注目されがちなオフショア開発ですが、もちろん失敗事例も存在します。
ただしオフショア開発自体が問題であるというより、あらかじめ対策をとることで避けられた事例も多く見受けられます。
オフショア開発をする際、こうした失敗事例を知っておくことは重要です。
オフショア開発でよくある失敗事例を紹介します。
低品質だった
仕様書を渡しているのに、納品されたものを確認すると低品質だったというのは良くある話です。
プログラムが想定通りに動かなかったり、ソースコードの可読性が低かったり、低品質の原因は様々ですが、問題に拍車をかけるのは、やり直し作業がスムーズにいかないことです。
仮に日本国内で内製化を引き継いだりしたあとも、低品質な納品をされてしまうと、「オフショア開発先が悪い」と日本人エンジニアのモチベーションが上がらず、完成品になかなか近づかなくなってしまいます。
開発予算オーバーだった
オフショア開発を選択する理由のひとつは、「コストカット」です。
しかしオフショア開発における失敗で一番多いのが、予算のオーバーだといわれています。
日本ではITエンジニアの確保が難しく、人件費が高騰しています。
オフショア開発の導入により人件費を削減できたのに、プロジェクト始動後の追加要件や仕様変更などにより、結果として予算がオーバーしてしまうといった失敗が多く見受けられるのです。
また為替の影響を受け、契約時に期待したコスト削減ができなかったという事例もあります。
納期が守られなかった
海外に業務を委託するということは、納期の問題を避けて通ることはできません。
なぜなら日本は、世界の中でも突出して納期限を遵守する国民性だからです。
一般的に、どこのオフショア開発国を選んだとしても、納期に関する考え方は「緩い」とみて間違いありません。
日本人の感覚で納期を設定すると、往々にして遅延してしまう可能性が高くなります。
ほかにも、仕様書に書かれていない要件を後から追加することも、納期が遅れる原因です。
設計と違うものができた
当初きちんと指示を出しておいたのに、納品されたシステムを確認すると、設計と違うものが出来上がってきたといった失敗事例もあります。
日本人同士のやり取りであれば「いい感じにまとめておいて」と言っておけば上手くいくことでも、委託先が海外の場合はそうはいきません。
海外のエンジニアは、基本的に仕様書に書かれていないことはやらず、行間を読んだり肌感覚で作業をしたりすることはありません。
そのことを知らずに作業を依頼すると、こちら側が思っていた設計とは違ったものが出来上がることになります。
オフショア開発が失敗しやすい4つの要因
オフショア開発には失敗しやすい要因がいくつかあります。こうした要因を知っておけば対策もしやすいです。
発注側と開発側のミスコミュニケーション
オフショア開発で一番問題となるのが「言葉の壁」です。
日本人同士のコミュニケーションであれば全く問題はないのですが、お互いが異なる言語を話すオフショア開発では、言葉の問題に端を発するミスコミュニケーションは多々起こります。
オフショア開発では、開発先が日本語を理解しているというパターンはあまりありません。
そのため英語でのやり取りが多くなりますが、エンジニアという専門性が高いコミュニケーションになると、双方の言いたいことがうまく伝わらず問題が起こりやすくなります。
発注側の管理不足
もしトラブルが起こった場合、すぐに連絡を取ったり、実際に会って解決策を相談できるオンショアと異なり、オフショア開発では管理を徹底する必要があります。
実績があり、委託先が日本国内である場合、徹底した管理をしなくても、プロジェクトが成功する確率は高いでしょう。
しかし委託先が海外、しかも今まで取引がなかった開発業者の場合、かなり綿密に管理することが重要になります。
言語によるコミュニケーション不足が心配される場合も同様で、丸投げしてしまうと進捗具合が全く把握できず、あとから大きなミスにつながることもあります。
たとえブリッジSEを通じてやり取りを行う場合でも、進捗やテスティングはこまめに行うことが大切です。
実績がない会社へ依頼
オフショア開発といっても、依頼したい内容は企業によって様々です。
コスト面のメリットばかりに囚われて、依頼したいプロジェクトの実績確認を怠ると、低品質なものを納品されるリスクが高まります。
オフショア開発の実績があるからと言って、担当するエンジニアが依頼したい分野に精通しているかどうかは、また別の問題なのです。
経済や為替の状況変化
オフショア開発は海外企業との取引になるため、相手国の経済状況や為替動向の影響を受けやすくなります。
例えば、オフショア開発の最大の武器である「新興国の安価な賃金」は、その国が経済成長していけば賃金も上昇していくのが一般的です。
また為替動向にも着目しなければなりません。
円安ドル高はニュースでも大きな話題となっていますが、ベトナムやフィリピンの為替レートも2018年から2023年の5年間で大きく変わってきています。
為替レートは毎日上下するものですが、対ベトナムでは過去5年間で-21.67%、対フィリピンでは過去5年間で-19.43%下降しており、どちらの国でも日本円の価値が下がっているのです。
発注側と開発側の文化の違い
国特有の文化の違いが、仕事に大きな影響を与えることもあります。
一般的にアジア諸国の人たちは、仕事よりも家族を大切にする傾向が強いといわれています。
日本ではお盆や正月に企業が長期休暇となり、休みを取って家族と過ごす人が多くなります。
しかし中国やベトナムでは1月1日(元旦)は単なる祝日であり、「特別な休日」といった意識はありません。
中国やベトナムでは旧正月を1年の最大イベントと捉えていて、商店や会社は一斉に休みに入り、業務は完全にストップします。
旧正月は中国では「春節」、ベトナムでは「テト」と呼ばれていて、毎年1月下旬から2月中旬の1週間ほど、ほとんどの人が故郷に帰って旧正月を祝います。
旧正月の前後は国民全体がそわそわしており、旧正月を含めた前後1か月程度は業務に支障が出ることも少なくありません。
日本では正月気分が抜けて「さあ今年もやるぞ!」という気分になっているときに、委託先のエンジニアの士気が下がってしまうことになりますが、これは文化の違いであって理解する必要があります。
逆に年末年始は日本でいうところの平日モードですから、こうした文化の違いを理解してスケジュールを組むことが求められるのです。
オフショア開発を成功させるためのポイント
ここまでオフショア開発の失敗事例と要因について解説してきました。
ではオフショア開発を成功させるためには、どのようなポイントに注意すべきなのでしょうか。
5つのポイントについて具体的に解説していきます。
実績のある会社を選ぶ
プロジェクトを成功させるには、やはりオフショア開発先の選定がポイントになります。
やはり実績は重要です。
オフショア開発の実績があることに加え、依頼する内容が得意分野であるかどうかの確認をしておきましょう。
例えば、以前に関わった参考となるソースコードを提出してもらうのも、ひとつの手段です。
どのくらいの期間で、どの工程に携わったのか、具体的に話を聞くことで実際のスキルを判断することができます。
コミュニケーションを頻繁に取る
オフショア開発において、コミュニケーションはもっとも重要なポイントと言っても過言ではありません。
日本でプロジェクトを進行するオンショアとは異なり、オフショア開発は言葉の壁や時差など、様々な障壁が存在します。
そういった問題を解決するためにはコミュニケーションが不可欠です。
気軽に往来できない海外だからこそ、コミュニケーションツールを最大に利用しましょう。
打ち合わせにはチャットやビデオ会議などを多用し、お互いに記録を取りながら進行します。
またプロジェクト管理ツールやドキュメント管理ツールは、オフショア開発先と共有することも大切です。
プロジェクトが始まる前に、「週1回のビデオ会議」「ツールを使ったコミュニケーションの徹底」「チャットやメールの返信は24時間以内」など、具体的なルールをあらかじめ決めておくといいでしょう。
進捗管理を徹底する
納品後に「こんなはずではなかった」とならないためにも、進捗管理は徹底させましょう。
進捗管理を行うことで得られるメリットは、「品質の向上」「納期遅延の回避」「ミスの早期発見」「負担の平準化」と多岐に渡ります。
プロジェクトの進み具合を確かめるだけでなく、さらに一歩踏み込んだ進捗管理が必要です。
例えば、作業担当者ごとのタスク内容や作業時間を報告してもらい、作業工程表と照らし合わせて遅れている個所を洗い出します。
こうした進捗の管理は、ミスを早期に発見し、大きな問題となる前に対処するためでもありますが、特定のエンジニアに業務負担がかかり過ぎていないかを確認し、平準化させることにも役立ちます。
委託国の文化に理解を示す
オフショア開発国の、文化や国民性を理解しておくことはとても大切です。
日本では年末年始に長期休暇を取るのが当たり前ですが、中国やベトナムでは旧正月(1月下旬から2月中旬)に長期休暇をとります。
日本のスケジュールに合わせてもらうのではなく、委託先の文化を理解し、予めスケジュールを組み立てるようにしましょう。
またベトナムやフィリピンは家族を大切にする国民性で、仕事のために家族を犠牲にすることはありません。
ギリギリで慌てることがないよう、余裕を持たせて納期を設定することも大切です。
そして委託先は「ビジネスパートナー」として接し、“格下”と見下すような態度は厳禁です。
指示は的確に伝える
オフショア開発において、「仕様書に書かれていないことは作業しない」というのは定番ですが、日本人同士で当たり前に行われている指示内容では伝わらないということは覚えておきましょう。
指示を与える際のポイントを3つ紹介します。
1.短かい文章で伝えるようにする
2.項目を分割する
3.曖昧な文章を使わない
もし指示を日本語で行う場合は、短い文章で伝えるようにします。
長い文章は十分に理解されない可能性があり、そのまま作業を進めてしまうと低品質・やり直しのリスクが高まります。
的確な指示を出すためには、項目を分割するのがおすすめです。
伝えたい内容を箇条書きにし、それぞれに見出しを付ければ、具体的な指示が視覚的にわかりやすくなります。
また曖昧な文章も海外の人には理解しにくいものです。
例えば、「多め」「少し」「しばらく」などは国によって受け取り方が様々です。
明確な数字で表せるものは数字で伝えると、相手に伝わりやすくなります。
私たちが普段何気なく使っているカタカナ英語も注意が必要です。
ビジネスでよく用いられる「ヒアリング」「チャレンジ」「コストパフォーマンス」は、海外では伝わらない単語として有名です。
曖昧な文章は、日本人同士でもトラブルの原因になることがありますが、コミュニケーションリスクの高い海外とのやり取りでは使わないようにしましょう。
オフショア開発で失敗したくないならMabuhayTechへ
オフショア開発は、ITシステム開発業務やインフラ構築、保守運用などを海外に委託して行うことで、人件費の削減やIT人材の確保といったメリットがあります。
世界各国でオフショア開発の需要は伸びており、日本でも大きく注目を集めていますが、導入後に失敗してしまった事例も存在します。
オフショア開発が失敗してしまう要因はいくつかあり、それらをあらかじめ知って改善策を講じておくことで、開発を成功に導くことができるでしょう。
MabuhayTechは、オフショア開発先として人気のフィリピンに拠点を置き、安全で信頼できる高品質なサービスを提供している会社です。
フィリピンは高い英語力と技術力を持ったITエンジニアが多く、人件費削減によるコストカットが期待できる開発国です。
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