IT業界のなかで注目されているオフショア開発、いろいろな開発国があるなかで最近よく耳するのが、
「フィリピンってどうなの?」
という質問です。
そこで今回は、
- フィリピンはどんな国?
- フィリピンでのオフショア開発のメリット
- フィリピンでのオフショア開発のデメリット
- フィリピンにオフショア開発を委託する手順
- フィリピンにオフショア開発を委託する際の注意点
について詳しく解説していきます。
フィリピンでのオフショア開発を検討している企業や担当者の人は、ぜひ参考にしてください。
フィリピンはどんな国?
フィリピンは東南アジアに位置する、7,600以上の島々からなる島国です。
外務所のデータによると、人口は1億903万5,343人(2020年フィリピン国勢調査)、国民の平均年齢は24歳となっています。
日本の平均年齢が48歳ですから、フィリピンは若い年代層の人口率が高く、これから成長していく国であることがわかるでしょう。
フィリピン国家統計局が発表している実質経済成長率を見ていきます。
2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
経済成長率 | 6.9 | 6.8 | 6.3 | 6.3 | 7.1 | 6.9 | 6.3 | 6.1 | -9.5 | 5.7 |
外務省が公開しているフィリピン基礎データを見ると、フィリピンの経済成長率は毎年伸びていて、これからますます発展していくのはないかと期待される国です。
次に国民性についてです。
フィリピン人はいくつかの系統に分けることができます。
マレー系フィリピン人
フィリピン人で一番多いのがマレー系です。
マレー系の人は、顔見知りになるとフレンドリーな人が多く、おおらかな性格だと言われています。
中国系フィリピン人
中国系の人は、礼節を重んじるまじめな性格、仕事にも真摯に取り組む人が多く、日本人と仕事をする上で相性がいいです。
そしてフィリピンの公用語は「英語」です。
第一言語はフィリピノ語ですが、第二言語が英語となっています。
学校など教育現場では英語が使われており、国民の多くが英語を話すことができます。
フィリピンでのオフショア開発のメリット
ではフィリピンの国民性がわかったところで、オフショア開発先としてみたときのメリットを考えていきましょう。
費用が安い
オフショア開発を導入する最大の理由は、「コストカット」が目的という企業が多いでしょう。
フィリピンのIT人材にかかる人件費は、経済発展に伴い、上昇中ではありますが日本よりもかなり安いです。
若年層が多い国ですから、今後ますますIT人材が増えていくことが予想されます。
フィリピンでは、マニラとセブ島に人口が集中していますが、セブ島よりも首都であるマニラに優秀なIT人材が集まっているのが特徴です。
英語力が高い
フィリピンでのオフショア開発で、英語力の高さを魅力にあげる人は多くいます。
言語の異なる国同士で仕事をする場合、コミュニケーションを円滑にするために「英語」でやり取りすることは少なくありません。
IT業界はこれからグローバル化が加速するとみられており、アプリの英語化や越境ECの構築など、英語での開発業務を行うことが今後増えていくと予想されています。
こうした状況下で、フィリピンの英語力の高さはかなり魅力的というわけです。
時差が少ない
オフショア開発において、時差は重要なポイントとなります。
なぜなら相談すべき事態が発生した時、時差が大きいと連絡がすぐにつかず、業務に支障が出てしまうからです。
日本時間が昼間でも、時差の関係で委託先が深夜であったら、連絡は翌日にしかとれません。
まして日本側も、相手と連絡がつく深夜まで待機しなければいけなくなります。
日本とフィリピンの時差は1時間、労働時間が一致しているため、コミュニケーションが取りやすいといったメリットがあります。
また難しいトラブルで、現地に行かなければならない問題が生じた時も、飛行機で4~5時間と比較的出張がしやすく、場合によっては日帰り出張も可能です。
時間的なロスが少ない点は、結果として開発コストの削減にもつながるので、大きなメリットと言えるでしょう。
技術力が高い
フィリピンでは国を挙げてIT人材の育成に取り組んでおり、2020年の時点でIT技術者が約18万人いると報告されています。
ITスキルも高く、特にデザイン力やスマホアプリ・ソーシャルゲームの開発能力が高いと評判です。
実際に一緒に仕事をした日本人エンジニアの口コミを見ても、技術力やコミュニケーション能力が高いという評価をしており、「期待以上の成果を出してくれた」と喜んでいる日本企業が多く存在します。
フィリピンでのオフショア開発のデメリット
フィリピンでのオフショア開発はメリットが多くある一方で、デメリットも存在します。
ではどのようなデメリットがあるのか、内容を知っておくことで対策が可能です。
日本語人材が不足している
フィリピンでは英語が公用語となっているため、英語でのコミュニケーション能力はかなり高いです。
しかしながら日本語を話せる人材はほとんどいません。
フィリピンのITエンジニアは、今まで欧米の企業をターゲットにしてきたために日本語の必要性がなく、コミュニケーションをとれるほど日本語を習得している人材がいないのです。
東南アジアにおける日本語の学習者数を見てみると、
学習者(人) | 10万人あたり の学習者(人) | |
インドネシア | 711,732 | 263.4 |
タイ | 183,957 | 278.8 |
ベトナム | 169,582 | 176.3 |
フィリピン | 44,457 | 40.8 |
マレーシア | 38,129 | 134.6 |
フィリピンは、オフショア開発国として人気のベトナムと比較しても日本語学習者の割合が低く、日本語教育に熱心でないことがわかります。
オフショア開発でのコミュニケーションは、とても重要なポイントです。
フィリピンでのオフショア開発を導入する際は、
①英語がわかる日本人のブリッジSEを用意する
②日本語がわかる人材をフィリピンに駐在させる
といったような工夫をするといいでしょう。
品質に関する理解や意識が異なる
日本人のエンジニアとフィリピンのエンジニアでは、品質に対する姿勢が異なります。
世界中を見ても、日本製は品質が高いというのが一般常識で、これは国民性によるものでもあります。
一方フィリピンは基本的におおらかな国民性で、厳しい品質管理といったものが苦手なエンジニアも多くいます。
成果物の合格ラインを明確に示しておかないと、思っていたものが納品されなかったりするのです。
ただしこれは、フィリピン人すべてのエンジニアがそうだというわけではありません。
コーディングなどのルールをマニュアル化し、フィードバックをこまめに行うことで、日本とフィリピンでの品質基準を揃えることができるでしょう。
文化や常識が日本と異なる
国によって文化や常識が異なるのは当たり前です。
日本とフィリピン、力を合わせてうまくやっていくには、お互いの文化や常識を理解することが必要です。
たとえばフィリピンでは「家族」をとても大切にします。
家族に関する行事があればそちらを優先し、仕事は二の次になることも珍しくありません。
日本では家族より仕事を優先することが多いため、フィリピンの「家族優先」の姿勢に対して、いい印象を持たない日本企業もあります。
しかしながらこれはフィリピンの文化であり、日本人の文化を押し付けるわけにはいかないのです。
フィリピンにオフショア開発を委託する手順
深刻なIT人材不足に陥っている日本企業にとって、フィリピンでのオフショア開発は、やはりメリットが大きなものです。
ではフィリピンでのオフショア開発を進めるには、どのような手順で進めていけばいいのでしょうか。
ここからは、一般的にフィリピンでオフショア開発を委託する手順を説明していきます。
①委託するオフショア会社を選ぶ
まずはオフショア会社の選定です。
「開発の得意分野」「日本語でのやり取りが可能」「開発実績」など、自分たちの依頼したい案件にマッチした企業を探すようにします。
初めは複数の企業を候補にあげ、そこから検討していくといいでしょう。
②希望する要件や仕様を相談
いくつかの候補先が決まったら、プロジェクトの詳細や希望する要件・仕様を相手に伝え、できるかどうかの確認を取ります。
このとき開発内容を外部に漏らさないためにも、「秘密保持契約書」を交わしておくといいでしょう。
③契約方式や開発方式の決定
こちらの条件が対応可能であったなら、次に契約方式と開発方式を決めます。
●契約方式
ラボ型 | フィリピンに一定期間にわたって専属チームを確保し、開発を行う |
請負 | ひとつのプロジェクトに対して、決められた期限までに完成品を納品する契約を結ぶ |
●開発方式
ウォーターフォール型 | 企画 → 設計 → リリース → テスト |
アジャイル型 | 企画 → 設計 → リリース → テスト ⇩ 企画 → 設計 → リリース → テスト ⇩ 企画 → 設計 → リリース → テスト |
オフショア開発では、契約方式は「ラボ型契約」「請負契約」、開発方式は「ウォーターフォール型」「アジャイル型」で進めるのが一般的です。
④見積もりをとる
契約と開発方式が決まったら、見積もりを出してもらいましょう。
見積もりでは、金額面だけでなく、開発実績や疑問点などはきちんと話し合うことが大切です。
⑤契約して開発がスタート
見積もりに双方合意できれば、契約をします。
契約書を作成、締結したらいよいよ開発のスタートです。
フィリピンにオフショア開発を委託する際の注意点
日本企業のオフショア開発先として人気があるフィリピンと、仕事を進める場合にはいくつかの注意点があります。
これらを知っておくことで、お互いに気持ちよく仕事を進めることができます。
文化の違いを理解する
先ほども述べましたが、日本とフィリピンでは文化に違いがあります。
フィリピンは家族をとても大切にする国です。
例えばリリース前になると、日本では残業や休日出勤などは当たり前といった風潮がありますが、フィリピンではそういった考えは通用しません。
これは国民性の違いであって、フィリピンがダメというわけではないのです。
オフショア開発では、相手国の文化を受け入れ、プロジェクトのマネジメントをしていくことが大切です。
スケジュールを細かく管理する
フィリピン人はおおらかな国民性で、その点を日本企業はルーズに感じることがあります。
特に「時間」に関しては、日本人ほど細かく考えていないので、遅刻や納期遅れなどが発生することも珍しくありません。
この点をクリアにするには、スケジュール管理は日本側がしっかり行うようにしましょう。
開発を進めていく段階ごとに進捗を確認、もし遅れが発生しているようであれば、エンジニアの配置やスケジュール変更などで調整を行ってください。
フィリピンのエンジニアからの進捗報告を待っていては、状況が改善しなかったり、そもそも報告自体がないこともあります。
スケジュール管理や勤怠管理などは、日本側で細かくチェックするよといいでしょう。
フィリピン人は本来まじめで、作業のスピードも速いと言われています。
日本側で余裕を持ったスケジュール管理ができれば、エンジニアたちのモチベーションも保たれ、問題なくプロジェクトを遂行できるはずです。
品質基準の共通認識を持つ
オフショア開発では、品質管理がしばしば問題になります。
これは国民性の違いによるものや、コミュニケーション不足から起こることもあります。
品質低下を防ぐには、次のような対策をとることが大切です。
- 仕様決定や要件定義などを明確に定め、情報を共有する
- レビュー計画とテスト計画を日本側が準備し、徹底させる
- コミュニケーション不足による品質低下を避けるために、ブリッジSEを置く
- あいまいな表現を避け、品質マニュアルやセキュリティ内容を英語で明文化しておく
オフショア開発は、日本と海外でのやり取りになるため、いろいろな課題があります。
しかしあらかじめ対策をしておけば、プロジェクトを成功に導くことができます。
フィリピンオフショア開発ならMabuhayTech
東南アジアに位置するフィリピンは、国民の平均年齢が24歳と若い世代が多く、成長著しい国です。
そんなフィリピンは現在、IT業界からオフショア開発国として注目されています。
フィリピンでのオフショア開発のメリットとしては、
- IT人材の給与が安く、開発コストを抑えられる
- 公用語が英語で、英語でのコミュニケーションがとりやすい
- 日本との時差が1時間
- 国策としてIT人材の育成に取り組んでいて、技術力が高い
といった特徴があります。
フィリピンにオフショア開発を委託する手順は、
①委託するオフショア開発を選ぶ
②要件や仕様、契約・開発方式を決める
③見積を取り、お互いに合意したら開発スタート
となります。
フィリピンでのオフショア開発を導入するなら、
- 文化の違いを理解する
- スケジュール管理は日本側で細かく管理
- 品質基準の共通認識を持つ
これらに注意して開発を進めていけば、フィリピンでのオフショア開発の成功につながることでしょう。
MabuhayTechは、フィリピンに拠点を置く、オフショア開発でのサービスを提供している会社です。
フィリピンには日本企業が抱える、IT人材不足を解消できる優秀なIT人材が多く育っています。
フィリピン人のITエンジニアは高い英語力があり、オフショア開発におけるコミュニケーションリスクを解消することが可能です。
もちろん品質低下を避けるための、ブリッジSEの相談も可能です。
MabuhayTechでは、単発のプロジェクトを依頼する受託開発のほか、フィリピンに専属チームを発足させるラボ型開発にも対応しています。
フィリピンの人材は、フレンドリー・真面目・仕事がスピーディーであることが魅力です。
フィリピンでのオフショア開発導入を目指している企業の方は、一度ぜひMabuhayTechにご相談ください。
オフショア開発に関する不安や疑問点を一つ一つ取り除き、顧客のニーズに対応できるサービスを提供していきます。