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漁業・水産業DXとは?メリットやDX事例を徹底解説

私たちの食を支えている第一次産業は、深刻な人手不足に悩まされています。

なかでも漁業は単なる人手不足の問題だけでなく、水産資源の減少や適切な管理という課題も抱えており、これらを解決しなければ漁獲生産量の下落は避けられません。

そこで注目されているのが漁業DXや水産業DXです。

今回の記事では、「漁業・水産業DXとは?」「漁業・水産業DXの現状と課題」「漁業・水産業DXのメリット」について詳しく解説していきます。

漁業・水産業DXを導入して成功した企業のDX事例も併せて紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

漁業・水産業DXとは?

水産物などを捕獲する漁業とそれらを加工して出荷する水産業は、人の手による作業が多く、従事者の高齢化と労働力不足が問題となっています。

物理的な課題解決のために、外国人実習生の活用も行われていますが、根本的な解決には至っていません。

そこで注目されているのが「漁業・水産業DX」です。

第1次産業である漁業・水産業と、第4次産業を基盤とするDXの融合は、今後、漁業・水産業の効率化や省力化に大きく貢献すると言われており、水産庁もDX導入を強く推進しています。

例えば、今までは熟練の漁師による「勘」や「経験」に頼っていた捕獲量ですが、こうした操業は時に非効率を招き、漁獲量不振に至ることもあります。

手作業による漁獲報告など、業務負担が大きいのも問題です。

ICT技術やAIを活用し、水産資源をデータ化し活用することで、貴重な水産資源の保護と漁獲量増加を目指すことが期待されます。

またIoTの活用は、水産物がより多くの消費者のもとへ届けられる可能性を秘めており、漁業・水産業活性化のカギとなっているのです。

漁業・水産業DXの現状と課題

 

海に囲まれた日本において、漁業は日本の産業を支える屋台骨のひとつでした。

しかし世界1位だった日本の漁業生産量は1984年をピークに減少をたどり、2015年にはピーク時の半分、世界第7位と転落しています。

日本の漁業・水産業が抱える現状と課題は何なのでしょうか。

漁業・水産業DXの現状と課題①労働者不足

第一次産業の労働力不足は深刻で、漁業・水産業も例外ではありません。

水産業はいわゆる3K(キツイ・汚い・危険)のイメージが強く、若い人が敬遠する傾向があります。

このままでは熟練の漁師の知見やノウハウを後継者に伝えることができず、そのまま廃業するケースが増加、さらなる労働者不足の加速につながっていくとされています。

今後、漁業・水産業の未来を支えていくためには、若手人材の育成は不可欠なのです。

漁業・水産業DXの現状と課題②水産資源のデータ不足

今まで漁師の勘や経験に頼ってきた漁業では、水産資源のデータが圧倒的に不足しています。

近年、気候変動などの影響もあって世界的に海洋環境は激変しており、漁獲量にも大きな変化がもたらされています。

本来獲れていた漁場で「魚が獲れない」「別の魚が大量に獲れる」など、適切な資源データの集計・管理なくしては漁業・水産業が成り立たなくなっているのです。

たとえ沿岸地域の漁獲量の情報が集められても、その集計・整理は手作業でなされており、収集に時間がかかると共に、データそのものに正確性がないなど数多くの問題が指摘されています。

こうした事務作業の効率化を図るために、ICTを活用した資源管理システムの構築は急務なのです。

漁業・水産業DXの現状と課題③漁師の年収

年収の低下は、漁業・水産業の深刻な課題です。

残念ながら漁業は「過酷な重労働と低賃金」というイメージが定着しています。

その理由は「安定した漁獲量を保てない」「多くの人手がいるために一人当たりの賃金が安くなる」という点です。

漁業の地元に生まれた若者でさえも、安定した仕事を求めて地元を離れるケースが多く、「漁業・水産業=低賃金」のダメージは大きいと言えるでしょう。

いかに漁業・水産業の年収をアップさせ、人材育成の確保・地域の活性化を目指す取り組みが模索されています。

漁業・水産業DXのメリット

漁業・水産業を取り巻く環境は極めて厳しく、そこに革命を呼び込むためにDX化は必要です。

では具体的に、漁業・水産業DXを導入した場合のメリットとして期待できることは何でしょうか。

漁業・水産業DXのメリット①漁業の業務効率化

漁業・水産業DXの導入メリットとして一番にあげられるのは、業務効率化です。

毎日の集計作業や繰り返されるルーティーン業務は、DXの得意とする分野であり、漁業・水産業においても当てはまります。

毎日行われている漁獲報告をスマートフォンで報告できるようにすれば、漁師が時間や場所を問わずに簡単に報告できるようになり、多くの報告を手作業で入力する必要はなくなります。

こうしたデータを自動で集計し分析できれば、水産資源の適切な管理につながり、今どの漁場で魚が獲れるかという判断の見える化も可能です。

漁業・水産業DXのメリット②漁師の所得向上

漁師の所得を向上させるためには漁獲量を増やさなければならず、そのために必要なのは正確な水産資源の情報と効率的な操業です。

ICTにより適切な情報収集と管理ができれば、高品質の漁獲物と安定した漁獲量を確保することが可能です。

またこうした水産物をDXを活用した流通・物流革命により、国内外の需要に応じて出荷・配送できれば、日本の漁業・水産業の価値が上がり、漁業者一人ひとりへ賃金として還元することができるでしょう。

漁業・水産業DXのメリット③若手人材の育成

産業を発展・維持させるには、将来を担う若手人材の育成が不可欠です。

これまで漁業では、技術の継承やノウハウを身に着けるために、長い期間が必要と考えられてきました。

一人前の漁師になるには時間がかかり、それまでは十分な所得も得られないのが当たり前とされてきたのです。

漁業・水産業DXを導入すれば、経験や勘といった目に見えないものに頼らず、短期間で若手に技術継承をすることが可能になります。

早い段階で人材を育成できることは、これから新しい人材を呼び込んだり、漁業・水産業を活性化させていく大きなメリットとなるでしょう。

このようにDXの推進は、今後の漁業・水産業の展望を明るくしていくために必要な取り組みです。

実際にDXを導入したスマート水産の市場規模予測は、2019年から2027年で約3倍になるとも言われています。

国や自治体によっては、DX導入を後押しするための補助金制度を制定しており、これらを活用して漁業・水産業DXを推進させていくことが期待されています。

漁業・水産業DXの導入事例

ここまで漁業・水産業DXの現状や課題、メリットについて解説してきました。

今後、漁業・水産業DXは徐々に浸透していくと予測されていますが、いち早くDX化を進めた企業にはどのような事例があるのでしょうか。

実際の漁業・水産業が導入したDX事例について、具体的に紹介していきます。

漁業・水産業DXの導入事例①双日株式会社

自動車やプラント、エネルギーや金属資源、食料資源など、世界で幅広くビジネス展開する大手総合商社「双日株式会社」は、マグロ養殖にDXを導入している企業です。

もともと双日株式会社の子会社であるツナファーム廣島株式会社でマグロ養殖を行ってきましたが、自然相手の養殖事業は問題が山積していました。

この課題解決のために導入した事例が、不確実な「自然」をデータ化する試みです。

マグロの正確な尾数把握

従来、養殖マグロの尾数把握は、漁師や生け簀に潜るダイバーの経験値に頼っていました。

しかし一般的な魚群探知機は魚群の位置を知ることはできるものの、はっきりとした魚群を捕えられるわけではないため、正確な数を知ることは困難でした。

そこでカメラを使ってデータを観測し、バーチャル生け簀を構築して尾数推定モデルを作成、より正確な養殖マグロの尾数把握に努めたのです。

給餌と出荷タイミングの最適化

経験値ではなく、実態に近い尾数把握ができている生け簀であれば、マグロへの給餌のタイミングや量をコントロールすることが可能になり、養殖マグロの適切な管理へつながります。

双日株式会社の取り組みによって、質の高い養殖マグロを一番いいタイミングで出荷して「玄海鷹島本まぐろ」の市場価値を高めることに成功しました。

双日株式会社では、この技術の応用でサステナブルな海洋資源を目指すことも可能だと考えています。

双日株式会社のDX事例は、商社としての立場だけでなく水産業の発展にも大きく貢献しているのです。

漁業・水産業DXの導入事例②株式会社ウーオ

水産物の販路は、「水揚げ港 → 産地市場 → 消費地市場 → 小売り・飲食店」と多くの仲介業者を経て消費者のもとへ届きます。

しかし電話やFAXなどアナログ通信での取引が一般的であり、取引先が固定されがちといった課題がありました。

株式会社ウーオはオンライン水産マーケットプレイス「UUUO」を開発、全国の漁港水揚げ情報(産地相場や漁獲量など)をアプリ上で配信して、小売店や飲食店が直にオンラインから発注できるシステムを構築しました。

小売店や飲食店にとって安定的な仕入れや仕入れ内容の充実が可能になり、売り手側にとっては新たな販路の開拓実現という双方にメリットがあるDX事例となっています。

漁業・水産業DXの導入事例③株式会社フーディソン

第一次産業の中でも、漁業は天候による漁獲量の差が大きい、鮮度がとても重要である、漁協規模が小さいなど、農業と同じECプラットフォームでは十分なサービスが提供できないといった課題を抱えていました。

オンライン水産物仕入れサービス「魚ポチ」

株式会社フーディソンが構築したオンライン水産物仕入れサービス「魚ポチ」は、小規模な飲食店でもさまざまな水産物を仕入れしやすいECサイトです。

水産業界では流通関連情報がアナログで扱われており、鮮度の良い魚や希少価値の高い魚は、いつも足を運ぶ市場や港から直接仕入れするしか方法がありませんでした。

フーディソンが構築したのは、個人で操業している漁師と小さな小売店・飲食店がつながることができるプラットフォームで、小ロットでも取引できる場の確保です。

「魚ポチ」のリリースで、小ロットだけれど希少価値のある魚を、本当に必要としている人たちへ届けることが可能になりました。

適正価格による漁業従事者の所得向上

鮮度が重要な魚の流通は、どうしても販売力の大きなスーパーマーケットに有利な流通構造になりがちです。

大手スーパーマーケットに出荷する大量の魚には価格が付くのに、美味しくて希少価値のある小ロットの魚は二束三文で買い叩かれる、こうした状況が続けば、やがて業界全体の崩壊は免れません。

小ロットの魚にも目を向けて適正価格を付けることは、漁師などの所得を上げることにつながり、布いては消費者が今後も美味しい魚を食べられることにつながることでしょう。

 

漁業・水産業DX化をご検討の方はMabuhayTechへ

私たちの食を支える第一次産業、とりわけ漁業・水産業を取り巻く環境は深刻で、人手不足・低賃金・水産資源の減少と、解決すべき課題が山積みとなっています。

そのような課題の解決に期待されているのが漁業・水産業DXです。

漁業・水産業は今まで漁師の経験や勘に頼る部分が大きく、非効率な操業や業務に悩まされてきました。

ICTやAIなどの技術を用いてデジタル化することは、業務軽減や漁獲量増加、そして漁業・水産業の活性化につながると考えられています。

水産物の資源データを適切に収集・整理・管理し、安定した漁獲量を確保できれば漁師たちの収入増につながり、私たちも安心して美味しい魚を食べることができます。

また大手スーパーマーケットに偏った水産物の流通だけでなく、個人操業の漁師が獲ってくる希少価値の高い魚を、全国の小売店・飲食店に届ける流通経路を確保すれば、小ロットであっても魚の価値を下げずに済むかもしれません。

海に囲まれている日本が今後も豊かな水産資源を活用するためにも、漁業・水産業DXの導入は不可欠なのです。

MabuhayTechはフィリピンを拠点に、さまざまなデジタル化を支援しているシステム開発企業です。

漁業・水産業DXは大企業にとってメリットが大きいだけではありません。

中小の水産業や市場にとっても、業務軽減や新しい顧客の開拓などメリットが数多くあります。

日本国内は多くの業種でDX化が進んでいますが、残念ながら開発を担うデジタル人材が不足しているのが現状です。

フィリピンは国を挙げてIT・デジタル人材の育成に取り組んでおり、若くて優秀なIT人材が数多く育っています。

MabuhayTechはそうしたIT人材を日本企業に紹介し、システム開発を請け負っています。

「DX化に興味はあるけれど、何から始めればいいのかわからない」

このような声はたくさん聞こえてきます。

まずは一度MabuhayTechにご相談ください。どのような悩みがあるのか、どんなDX化ができるのか私たちと一緒に考えていきましょう。

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