近年、ソフトウェアの開発部門は開発費の削減や工数の低減など、あらゆる場面でコスト削減を求められています。
今回の記事ではは、「開発コストとは」「開発コストが高くなる要因」「ソフトウェア開発コストを抑える方法」「オフショア開発にフィリピンがおすすめな理由」について詳しく解説していきます。
開発コスト削減をしたい方、コスト削減にオフショア開発を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
開発コストとは
システム開発のコストとは、開発環境や使用するソフトウェア・ハードウェアを含むこともありますが、一般的にシステム開発の実行にかかるコストを指しています。
次の表は、大まかな開発コストを種類別に分けてみたものです。
システム開発費 | システム開発作業(設計・プログラミング・ドキュメント作成・テスト作業)にかかる人件費 |
プロジェクト管理費 | PM(プロジェクトマネージャー)が進捗状況や品質管理などを行うときに発生する費用 |
その他の費用 | オフィス賃貸料やマシンレンタル料、スタッフの交通費、リスクの際における予備費用 |
開発費用は上記の表に分けることができますが、実は開発コストのほとんどを占めているのはシステム開発費、つまり人件費なのです。
もし開発コストを削減したいと考えた場合、この「人件費」を如何にカットできるかが、大きなカギを握ってきます。
ではシステム開発の人件費はどのように計算できるのでしょうか。
人件費は、次のような計算式で求めます。
人月 × 人月単価 × 開発期間
人月とは、「システム開発を1か月間行った場合に必要な人員の数」を指し、例えば1か月に5人のエンジニアが必要なら「5人月」となります。
もちろん開発作業はエンジニアだけでなく、ディレクターやプログラマーなどチームで行うのが一般的で、プロジェクトによっても人件費は変動するのが基本です。
開発コストが高くなる要因
システム開発において、開発コストが高くなってしまう要因は何でしょうか。
具体的な3つのポイントを考えてみましょう。
テストの実施
ソフトウェアのシステム開発では、作業工程の多くをテスティングが占めています。
テスティングとは、ソフトウェアが問題なく動作するかテストすることであり、「機能テスト」「性能テスト」「ストレステスト」などに分類されます。
機能テスト | プログラム機能がきちんと実装されているかどうかのテスト |
性能テスト | 実用するための性能を満たしているかのテスト |
ストレステスト | 高負荷にも耐えられるかどうかを見極めるテスト |
これらのテスト作業は、納品直前に行われるだけでなく、作業の中間でも行われます。
なぜなら開発途中のテスティングにより、バグを早期発見し、原因個所を特定して修正するデバッグをきちんと行うことによって、成果物の品質確保や納期遅れを避けることができるからです。
またオフショア開発のように海外に開発を依頼している場合、成果物が完成したあと、納品を受け付けるかどうかの受入テストも必ず行なわれます。
プロジェクトの内容によってはテスト回数も多くなり、それに伴い費用もかかりますが、動作を検証するテスティングはとても重要な作業であり、省くことはできません。
開発期間の延長
開発期間の延長は、システム開発のコストが増大する原因です。
その理由は単純で、開発期間を延長すればIT人材を余分に確保しなければならず、当然人件費が大きく跳ね上がるからです。
例えば、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」にて公表されている「システム・エンジニア」の平均月給は37.5万円となっていますが、仮に開発期間が2か月延びて5人月だった場合、375万円の人件費が増大します。
人件費の上昇
日本における、IT人材の人件費高騰は深刻です。
経済産業省「ITベンチャー等によるイノベーション促進のための人材育成・確保モデル事業」によると、日本のIT人材の供給は2019年がピーク、それ以降は年々減少すると言われています。
その一方で、ITニーズは今後も拡大していくのが確実であり、求められるIT人材は増加の一途をたどります。
つまり年を追うごとにIT人材不足は拡大し、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予想されているのです。
人材が不足すれば、企業間でのIT人材の取り合いが起こることは必須であり、IT人材を確保するための人件費はさらに高騰するでしょう。
前回のシステム開発では組んであった予算では、次のプロジェクトは遂行できないといった事態が起こり得るのです。
ソフトウェア開発コストを抑える方法
ではソフトウェアの開発コストを抑えるためにはどうすればいいのでしょうか。
ここからはソフトウェア開発コストを抑えるためにはどうすればいいのか、具体的な方法をいくつか解説していきます。
目指す目標や必要な機能をはっきりさせる
目指したい目標や「ここは譲れない」など、必要な機能をはっきりさせることは、コスト削減につながります。
ソフトウェアを開発していくうえで、ただ漠然と機能をつけていくと、「やっぱりこの機能は要らなかったな」と完成後に気づくことは多々あります。
つまり必要がない機能に、コストが発生してしまっているわけです。
また開発の際に、クリアにしたい問題や欲しい機能など、目指す目標をはっきりさせておかないと、進行していく過程で思わぬ大きな修正や追加の作業が発生し、予定外の費用が発生することもあります。
こうした事態を避けるには、
- アジャイルプロジェクトを採用する際は、途中でブレが生じないよう方向性をきちんと定めておく
- ウォーターフォール開発で進める場合は、指標となる機能設計や開発スケジュールを明確にし、共有しておく
- 必要な機能だけでなく、不必要な機能をあらかじめはっきりと決めておく
このように、目指す目標や必要な機能をはっきりさせることは、結果としてコスト削減がしやすくなります。
補助金を活用する
ソフトウェア開発には、補助金が活用できることがあります。
これらを活用することで、開発コスト削減を実現することが可能です。
名称 | 対象者 | 補助額 | 詳細サイト |
ものづくり補助金 | 革新的サービスや試作品開発を考えている中小企業・小規模事業者 | 100万円~4,000万円 | ものづくり補助金総合サイト |
IT導入補助金 | 業務効率化・生産性向上のためのITツール導入する中小企業・小規模事業者 | 5万円~450万円 | IT導入補助金2023 |
小規模事業者持続化補助金 | 新たにソフトウェアを導入し、販路拡大に取り組む小規模事業者 | 50万円 | 小規模事業者持続化補助金(一般型) |
事業再構築補助金 | 業態転換・事業転換・事業再編を目指す中小企業・小規模事業者 | 100万円~8,000万円 | 事業再構築補助金 |
ソフトウェア開発で利用できる補助金は、原則的にいずれかひとつを選んで申請を行います。
それぞれ、目的や給付額、スケジュールなどに違いがあるので、事前によく調べておきましょう。
計画段階で時間をかける
先ほど、開発期間が長くなると人件費がかさむという説明をしました。
そのため、少しでも開発期間を短縮しようと、計画段階を急いで終わらせて、早く設計作業に入ろうと考えるかもしれません。
しかしながらこれは間違いです。
開発スケジュールで重要なのは、計画段階に時間をかけることです。
計画がおろそかだと、プロジェクトが進行するうちに、本来の希望とは外れた方向性で進んでしまい、大規模な修正作業が発生することもあります。
軌道を修正する作業に手間取り、結果として開発期間が延び、コストがかさむといった悪循環に陥ることも少なくありません。
このような事態を避けるためにも、
- 必要な作業を明確化する
- 解決すべき問題点を洗い出す
- 解決策についてできる限りアイデアを出しておく
といったことを、計画段階でしっかりと行っておくことが大切です。
実際の設計作業がスムーズに進行し、仮に修正が発生しても、大問題にならずに軌道修正ができるようになれば、開発コストの削減につながります。
そのためにも、計画段階はしっかりと時間をかけて行うようにしましょう。
オフショア開発を採用する
ソフトウェアの開発コストで大部分を占めるのは「人件費」です。
この人件費を抑えるために注目されているのが「オフショア開発」です。
オフショア開発とは、システム開発やソフトウェアの開発業務を海外に委託することを指します。
日本では深刻なIT人材不足が起きていて、開発に必要なエンジニアを確保するための人件費が高騰しています。
そこで日本よりも人件費が安い新興国にソフトウェアの開発業務を委託し、高騰するIT人件費を抑え、開発にかかるコストをカットしようというのがオフショア開発です。
日本ではかつて、隣国中国でのオフショア開発が盛んに行われてきましたが、近年は中国国内での人件費が高騰し、コストカットのメリットがあまり得られないことから、ベトナムやフィリピンといったアジア諸国にオフショア開発の人気が移りつつあります。
オフショア開発には、
- 請負型開発
- ラボ型開発
の2種類がありますが、特に「ラボ型開発」と呼ばれる開発方法では、長期間にわたってIT人材を確保し、専属のチームを作ることができるため、委託元の主導でシステム開発を進めることが可能です。
ラボ型開発では、「計画に時間をかけることができる」「コミュニケーションが取りやすい」「途中で大幅な修正が起こりにくい」といったメリットが生まれやすく、開発コストの削減が見込みやすくなります。
もちろん開発内容によっては、請負型を選択した方がメリットが大きいこともありますので、自社にあった開発方法を選択することが大切です。
オフショア開発にフィリピンがおすすめな理由
コストカットを目的としたオフショア開発において、フィリピンは人気が高まっている開発国です。
その理由として、次の3つをあげることができます。
- 英語のコミュニケーション能力が高い
- 時差が少ない
- 人件費が安い
英語のコミュニケーション能力が高い
フィリピンでは、英語が公用語として使われています。
異なる言語の国同士で仕事をする場合、コミュニケーションは英語で取ることが大半です。
特にシステム開発といった専門的なコミュニケーションを必要とする場合、英語が話せるエンジニアの存在は大きなメリットとなります。
時差が少ない
フィリピンと日本の時差は1時間です。
オフショア開発において、時差が少ないことは大きなメリットとなります。
なぜなら急な相談や連絡事項において、時差が大きいと連絡が遅くなりますし、リモート会議の際もどちらかの就業時間に合わせる必要が出てきます。
1時間という時差であれば、こういった時間的なストレスは最小限で済みますし、現地への出張も飛行機で4~5時間あれば可能です。
人件費が安い
フィリピンにおけるITエンジニアの人月単価は30万程度、日本における人月単価・80万円ほどと比較すると、その差はかなり安価と言えます。
ソフトウェアの開発コストにおいて、人件費はかなり大きな割合を占めることからも、オフショア開発を利用することは大幅なコストカットが期待でき、開発費用を抑えることにつながります。
急成長を遂げているフィリピンでは、今後コストのメリットは小さくなる可能性はありますが、高騰を続ける日本のIT人材の確保よりも当面メリットは大きいと言えるでしょう。
開発コスト削減のご相談はMabuhayTech
IT産業は多くの分野で広がりを見せていますが、その一方で開発コストの削減を求める声は高まっています。
実はソフトウェアの開発コストにおいて、大きな割合を占めているのは人件費です。
つまり人件費を抑えることは、大幅なコストカットにつながる可能性があるのです。
日本のIT人材不足は深刻で、その人件費は急騰しています。
そのため最近では、開発を海外で行うオフショア開発の人気が高まっているのです。
フィリピンは、オフショア開発国として人気が高まっている国のひとつです。
「英語力が高い」「時差が少ない」といった魅力のほか、「人件費が安い」といったメリットもあります。
MabuhayTechはフィリピンに拠点を置き、オフショア開発をサポートする会社です。
日本の企業が抱えるIT人材不足解消と、フィリピンのIT分野の雇用創出、このふたつをうまくマッチングさせることで、日本とフィリピン双方の明るい未来を設計していきます。
「オフショア開発ってどうなんだろう?」
迷っているのなら、まずは何でもご相談ください。
一緒に明るい未来を築いていきましょう。