コスト削減や人材の確保など、魅力的な要素を多く含むオフショア開発が今、注目されています。
しかしながら、実際に導入しようとするには、いろいろ不安を感じるところもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、オフショア開発が抱える課題について、5つの問題点と4つの解決策を詳しく解説していきます。
世界中で急成長を遂げるIT分野で、オフショア開発はグローバルスタンダードになりつつあります。
オフショア開発を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
オフショア開発が抱える課題とは
オフショア開発には、直視すべき課題があります。
オフショア開発が抱える課題①「言語・コミュニケーションの問題が生じやすい」
まずは言語の問題です。
当たり前のことですが、開発を委託する国の母国語は、日本語ではありません。
実際には日本語を全く理解できない現地スタッフもおり、多くのケースではもっともポピュラーな英語を使ってコミュニケーションを図っています。
ただし日常会話レベルで問題ない英語力があっても、母国語でないコミュニケーション、さらに専門用語が飛び交うシステム開発では、こちらの指示が上手く伝えられないことも少なくありません。
ほかにも、日本人同士なら伝わる曖昧な表現が、海外では全く通用しないことも問題です。
「言わなくてもわかる」ことはありませんし、「上手くやっておいて」は、自分たちの好きなように勝手に作業するといった意味に置き換わります。
オフショア開発において、コミュニケーションの問題は重要です。できる限りの対策を打っておきましょう。
オフショア開発が抱える課題②「ビジネスにおける習慣・文化の相違が影響を及ぼす」
オフショア開発では、言語の違いによる問題だけでなく、文化の違いによる課題も仕事に大きな影響を及ぼします。
日本では当たり前のように行われていることが、海外では常識とはいえないのです。
例えば中国では、支払いの遅延が商習慣として定着しています。
これは支払い能力の問題だけでなく、取引先と円滑な関係を築きつつ、どれくらい支払いを遅らせることができるか、というのが経理担当者の実力だと言われているからです。
ベトナムでは残業をほとんどしません。
企業側には時間外労働には50%〜300%の手当を支払うことが義務付けられていますし、旧暦に基づいた年間行事を優先するため、スケジュール管理には注意が必要です。
フィリピンでよく耳にするのは、時間にルーズだという国民性です。
そのため日本側が何か質問をしたとしても、レスポンスが遅いのは仕方がないと思っていた方がいいでしょう。また降格人事は法律で禁止されています。チームをまとめる役職の人選は、慎重に行うのが鉄則です。
国民性は、その国に長く定着している習慣です。
日本文化との差異が大きくても、こちらの文化を押し付けることはNGです。
習慣や文化を日本式に変えるという行為は、相手との関係性を拗らせる原因となります。
商習慣・文化の相違は、ビジネスにおいても重要な要素なのです。
オフショア開発が抱える課題③「要件・仕様を統一させるのが難しい」
言葉の問題に端を発しますが、オフショア開発では要件や仕様の統一が課題となります。
母国語の異なる国通しで作業する場合、基本的には英語でやり取りすることが多いでしょう。
お互い、母国語同様に英語を操れれば問題ないのですが、そうでない場合はやり取りの際に認識にずれが生じやすくなります。
そんな認識の“ずれ”は、仕様のばらつきにも影響します。
仕様が統一されていないと、結果として、オフショア開発が失敗に終わる可能性も否定できません。
オフショア開発が抱える課題④「開発がブラックボックス化する」
オフショア開発では、開発自体がブラックボックス化することが、しばしば問題となります。
これは日本と海外といった物理的な距離により、テレワークで作業を進めるのが基本となるからです。
同じ社内、もしくは日本国内であれば、「今どんな状況?」と気軽に確認することも可能でしょう。
しかしながらオフショア開発では、正確な進捗状況を把握しづらく、開発先からの報告を信用することが前提となります。
オフショア開発ではリスクや進捗の管理が不透明になり、開発自体がブラックボックス化してしまう課題が起こりやすいのです。
オフショア開発が抱える課題⑤「人材が定着しない」
日本ではIT人材の確保が大きな問題となっています。
その解決策がオフショア開発なのですが、その一方で開発国におけるエンジニアの定着率が課題でもあるのです。
近年、開発国として人気となっているベトナムやフィリピンは、転職への抵抗意識が薄いとされています。
つまり条件がいい企業やスキルアップのために転職するエンジニアが多く、前回のエンジニアに再度依頼したいと思っても、すでに退社していたというのはよくある話なのです。
長期的に同じメンバーで開発依頼をしたい場合、オフショア開発の人材定着率というのは課題の一つと言えるでしょう。
オフショア開発における課題の解決策
ここまでオフショア開発における5つの問題点について解説しました。
ここからは問題点についての具体的な4つの解決策について解説していきます。
オフショア開発における課題の解決策①「オフショア開発先の文化を尊重し理解する姿勢を持つ」
まずひとつめは、日本と開発国の文化の違いを理解することです。
例えば、日本の電車運行は1分という正確さを求められます。しかしこれは日本特有であり、世界中の人々が驚くことでもあります。
この背景にあるのは、日本人の時間感覚がもとになっていると考えられますが、海外では時間のとらえ方が全く異なります。
ときにはその感覚を「ルーズ」に感じ、納期遅れにイライラするケースも考えられます。
ただしこれは文化の違いであり、相手を責めるべきではありません。
納期遅れを防ぐため、時間に余裕を持ったスケジュールを組んだり、進捗をこまめに行うルール作りをしたり、文化や習慣を尊重しながら働きやすい環境を整える対策をしていきましょう。
オフショア開発における課題の解決策②「高頻度かつ精度の高いコミュニケーションをとる」
オフショア開発でのコミュニケーションの取り方は、かなり重要なポイントです。
日本語でのやり取りが難しいオフショア開発では、とにかく高い頻度でコミュニケーションをとることが重要です。
その際、なるべくお互いの意見交換がしやすい方法を選択することが大切です。
幸いにもITソリューションは日々進化しています。
従来からあるメールや国際電話だけでなく、共有したいファイルを残せるストックツール、ビデオ通話機能があるチャットツールなどを活用し、高頻度かつ高精度のコミュニケーションを意識しましょう。
オフショア開発における課題の解決策③「ブリッジSEの能力を確認し、懸念点や要件をしっかり共有する」
オフショア開発において、ブリッジSEの存在は重要です。
プログラミングスキルや日本語が話せるSEを置くことは大前提ですが、それ以外の能力も大切なポイントになります。
ブリッジSEは、日本企業とオフショア開発先の間に入って、お互いの意見交換をサポートしたり、プロジェクト全体の管理を行ったりする重要なキーパーソンです。
コミュニケーション能力やマネジメントスキルなどが求められるブリッジSEですから、選ぶ際には面談などで、きちんと能力を把握しておきましょう。
オフショア開発における課題の解決策④「進捗をしっかり管理する」
コミュニケーション手段を確保したら、プロジェクトの進捗状況はこまめに確認すべきです。
日本企業で取り入れられている日報は、スケジュールの遅延や問題把握に非常に有効で、迅速な対策をとることが可能です。
オフショア開発でも進捗状況をしっかり管理することで、納期の遅れや品質低下といった問題を回避できるようになります。
課題を作らないためのオフショア開発のコツ
オフショア開発が始まってから問題を解決するのは、いろいろと難しいことも多いでしょう。
そこで課題を作らないためのコツを3つ紹介したいと思います。
課題を作らないためのオフショア開発のコツ①「案件や目的に合う委託国に依頼をする」
オフショア開発導入の際には、依頼国の選択が重要になります。
「どのような案件なのか」「目的は何なのか」によっても依頼国は変わってきます。
なぜならオフショア開発国といっても、国によって習慣や言語、得意分野が違うからです。
オフショア開発の歴史が長い国では、経験値を積んでいる分、難しい案件を任せられる一面があります。
逆に実績が浅い国では、開発コストを低く抑えられるメリットが生まれます。
またモバイル普及率が高い開発国では、モバイル関係の開発に強いです。
このように案件や目的にあった開発依頼国を選ぶことは、オフショア開発での課題を作らない第一歩になります。
課題を作らないためのオフショア開発のコツ②「開発内容に適した契約方法を選ぶ」
契約方法の選択も重要です。
オフショア開発の契約方法には、大きく分けて2つの型があります。
「請負契約」と「ラボ契約」ですが、それぞれ特性が異なるため、依頼したい案件にあった契約方法を選ぶことが大切です。
請負契約は、成果物ごとに契約を結ぶ方法です。
完成したシステムの納品を約束しているため、品質が保たれた成果物を納品してもらえる可能性が高くなります。
単発案件向きの契約方法で、長期的な開発や仕様変更が多いシステム開発には向きません。
ラボ契約は、一定期間継続してエンジニアと契約する方法です。
期間内はエンジニアのリソースが確保できており、複数のプロジェクトにアサインすることも可能になります。
また追加修正や仕様変更にも対応できるため、長期間にわたる開発や、複雑な案件向きといえるでしょう。
請負契約とラボ契約では特徴が全く異なり、向き不向きがあります。
案件にあわない契約方法を結ぶと、結果としてコストがかさんでしまったり、低品質な成果物が納品されたりするリスクが生じますので、契約方法は慎重に選択しましょう。
課題を作らないためのオフショア開発のコツ③「連絡や進捗状況の取り方を事前に決める」
オフショア開発において、コミュニケーションの大切さは本当に重要です。
一度開発が始まってしまうと、思ったように時間をとれない可能性があります。
実際の連絡方法は後から決めればいいと思っていても、日本と海外という物理的な距離があると、お互いの意見を交換することが難しいこともあるでしょう。
連絡を取り合う方法やツールは、オフショア開発を始める前に決めておくことが大切です。
本格的な開発段階に入る前の初期段階は、時間的余裕もあり、連絡方法や進捗状況のタイミングなどに関する決め事も相談しやすいものです。
開発を下支えする仕組みがしっかりしていると、メインの開発もうまくいきやすくなるでしょう。
オフショア開発のご相談はMabuhayTechへ
コスト削減や人材の確保など、メリットに目が行きがちなオフショア開発ですが、さまざまな課題も抱えています。
言語やコミュニケーションの問題、ビジネス上の習慣や文化の違い、開発のブラックボックス化など、抱えている問題は多岐にわたります。
ただし相手国の文化を尊重して理解したり、コミュニケーション手段をきちんと決めたりすることで、こうした課題をひとつずつ解決していくことが可能です。
また日本企業と開発先の間に入る、ブリッジSEの存在はとても重要です。能力の高いブリッジSEは、オフショア開発のキーパーソンになります。
MabuhayTechは、フィリピンに拠点を置くオフショア開発企業です。
フィリピンは現在急成長を遂げる国家で、その中心となる働き手は20代、この先も右肩上がりで成長を続けるとみられています。
公用語が英語であり、ホスピタリティにあふれる国民性は、オフショア開発国としても人気が上がってきています。
MabuhayTechが考えるオフショア開発は、クライアントである日本企業の希望を叶えるだけではありません。
フィリピンのエンジニアやスタッフ、そしてその家族、取引先の三方が明るい未来を築いていけるオフショア開発を目指しています。
オフショア開発は、大企業だけが選択できる開発方法ではありません。
MabuhayTechではビジネスの業界や規模に関わらず、開発サービスを提供しています。また、ラボ型開発チームに必要なIT人材派遣サービスも行っています。
AIやマッチングアプリ、ゲーム開発など、開発内容は幅広いものです。
オフショア開発の導入を検討している方、海外に委託することに不安を抱えている方、ぜひ一度MabuhayTechにご相談ください。
一緒に明るい未来を考えていきましょう!