世界中で急速に広まったITですが、日本ではIT開発に必要なエンジニアの数が圧倒的に不足しています。
そこで注目されているのがオフショア開発です。
この記事では、
- オフショア開発とは何か
- オフショア開発で委託される業務やメリット
- オフショア開発を成功させるポイント
などについて詳しく解説していきます。
オフショア開発のメリットを最大限に生かせれば、低コスト・短納期でのソフトウェア開発も夢ではありません。
IT事業や既存の事業をDX化し世界と戦おうとしているのなら、ぜひこの記事を参考にしてください。
オフショア開発とは
オフショア開発とは、ITにおけるシステム開発業務やインフラ構築、保守運用などを人件費の安い海外に委託して行うことを指しています。
海外といっても、IT業界での“オフショア”は、日本よりも賃金の安い新興国を表すのが一般的です。
ほかにも、「時差が少ない」「英語が通じる」といった国や地域が好まれる傾向があり、具体的にはベトナムやフィリピン、インドなどが人気のオフショア開発国となっています。
オフショア開発では、ソフトウェアやアプリの開発からテスティング、保守運用まで幅広い業務を委託することができます。
システム開発は、優秀なエンジニアを確保できなければ、開発が遅れるだけでなく、品質の低下を招いたり、最悪の場合、開発業務自体がとん挫してしまう可能性もあるのです。
オフショア開発が注目される背景
なぜ今IT業界で、オフショア開発が注目されているのでしょうか。
理由は、日本が現在深刻なIT人材不足に直面しているからです。
世界は今、第4次産業革命の真っただ中にいます。
第4次産業革命とは「IoT(モノのインターネット)」「ビッグデータ」「AI(人工知能)」を活用した技術革新のことで、情報通信や医療、教育サービスなど様々な場面で必要とされる技術です。
しかしながら日本ではエンジニアの数が圧倒的に不足しており、第4次産業革命の波に乗り遅れてしまうことが懸念されているのです。
そこで日本のIT人材不足を補いつつ、さらに開発コストの削減が目指せると、オフショア開発への期待は急速に高まっています。
日本がここまでIT人材の不足に悩まされている背景は、やはり人口減少と少子高齢化によるものが大きいとされています。
日本の若者も、決してIT業界に興味がないわけではありません。
むしろITエンジニアを目指す割合は増加しているのですが、IT市場の急速な成長拡大に人材が追い付いていないのです。
そもそも日本は少子高齢化により、労働生産人口がどんどん少なくなっています。
出生数の増加が見込めない現状では、労働生産人口の減少はますます加速していくことでしょう。
こうした日本の現状を打開すべく、オフショア開発への期待は高まっているのです。
オフショア開発で委託される主な業務
オフショア開発といっても、そこへ委託される業務は様々です。
オフショア開発の契約形態としては、「請負型」「ラボ型」の2種類があります。
請負型とは、あらかじめ決められた仕様書通りの開発を行った場合に対価を支払うタイプです。
ラボ型は、確保したエンジニアに対し月換算で委託費用を支払うタイプです。
ラボ型での契約は、中長期的にエンジニアを確保できるために、その間に培ったノウハウを蓄積することができるほか、途中での仕様変更などにも柔軟に対応が可能であるといったメリットがあります。
オフショア開発で委託する業務としては、スマートフォンアプリやソーシャルゲームなどの開発、また開発されたソフトウェアや製品が正しく作動するかどうかの確認作業を行うテスティング、AI開発やVR開発など、かなり幅広くなっています。
またシステムを構築した後は、運用・保守も必要となりますが、オフショア開発ではこうした業務の委託も可能です。
オフショア開発のメリット
ではオフショア開発のメリットについて、もっと詳しく解説していきます。
様々なものがIT化される昨今、最も重視されているのが開発スピードです。
オフショア開発には、開発スピードに欠かせない「優秀なエンジニアの確保」「コスト削減」「柔軟な開発体制」といった3つのメリットがあります。
優秀なエンジニアが確保できる
まずは優秀なエンジニアの確保です。
日本では労働生産人口の減少が著しく、IT人材が大幅に不足しています。
オフショア開発として人気の東南アジア諸国では、国を挙げてIT人材の育成に努めているところも多く、若い人たちを中心に多くのエンジニアが生まれているのです。
もちろん現地の技術系大学を卒業し、PMP・ISTQB・AWSなどの各種資格を保有している優秀なエンジニアもたくさんいます。
IT人材不足の日本で、優秀なエンジニアを確保するのはかなり困難ですから、オフショア開発によるエンジニアの確保は大きなメリットです。
コストを削減できる
次にコスト削減です。
オフショア開発では優秀なエンジニアを確保できるメリットのほか、人件費の削減も可能です。
<各国のITエンジニア月単価相場>
ITエンジニアの月単価相場(万円) | |
日本 | 60~65 |
中国 | 40~45 |
ベトナム | 30~35 |
フィリピン | 30~35 |
このように、オフショア開発ではIT人材にかける人件費を減らすことができます。
以前は中国やインドにオフショア開発を委託する企業が多く見られましたが、人件費の高騰により、コスト面でのメリットが得られなくなっています。
親日家としても知られるベトナムやフィリピンは、日本と比べて人件費が安いことや優秀な人材が多数いることから、近年オフショア開発先として選ばれているのです。
柔軟な開発体制をつくれる
人件費にかかるコストを削減できることは、柔軟な開発体制にもつながります。
開発コストには決まった予算があります。
オフショア開発を利用することで、人件費をカットすることができれば、その浮いた費用をほかに回すことが可能です。
例えば、“短納期”です。
日本では優秀なエンジニアを複数確保するためには、高額な人件費がかかります。
そのために、限られたエンジニア数で開発業務を行うことになり、短期間での納期は難しいのが現状です。
オフショア開発で海外の優秀なエンジニアを多く確保することができれば、短納期が可能になり、今まで滞っていた開発スキームの確立も期待できることでしょう。
オフショア開発のデメリット
オフショア開発では、人件費を大幅に削減し、ソフトウェアなどの開発コストを抑えるメリットがあります。
しかし同時にデメリットも存在するということを忘れてはいけません。
コミュニケーションコストがかかる
システム開発に使われるプログラミング言語は世界共通であり、オフショア開発を利用する際の、IT技術そのものに関する問題はさほど心配いりません。
問題となるのは、言語や文化の違いからくるコミュニケーション不足によって引き起こされるトラブルです。
同じ日本人同士であれば、仕様書に書かれていない指示や“暗黙の了解”といわれることで大きなトラブルになることは少ないでしょう。
また納期が近くなったり、作業工程が遅れていたりした場合、プライベートより仕事を優先することは、日本人が当たり前のように受け入れてきた文化です。
しかしながら海外の人材相手には、そうした日本人独特のルールは通用しないのです。
仕様書に書かれていないことを、行間を読んで自発的に作業をしたり、家庭を犠牲にしてまで仕事をこなしたりすることは、海外ではほとんどみることはありません。
日本と現地ではビジネスマナーや考え方に違いがあり、開発を進めるうえで大きな障壁となる可能性があります。
ほかにも、日本との時差が大きな国への業務委託は、打合せの時間がなかなか取れなかったり、緊急時に対応が遅くなってしまったりといった問題が起こることもあります。
こうしたコミュニケーションの問題を曖昧にしておいた結果、やり直しなどの作業が発生して、最終的に費用がオーバーしてしまったという話はよくあることです。
オフショア開発では、優秀なエンジニアという人材の確保を安く抑えられても、こうしたコミュニケーションコストがかかる可能性があるという点は、あらかじめ理解しておくべきでしょう。
要件や仕様の認識のずれが生じやすい
日本国内でシステム開発を行っている場合、言語や文化の違いによって要件や仕様がズレてしまうといった問題はあまり起きません。
これは日本人同士で、日本人に伝わりやすいコミュニケーションをとりながら作業を進めているからです。
しかしながらオフショア開発では、仕様書に明記されていない作業をエンジニアが行うことはありません。
「こう書いておけば、ここまでやっておいてくれるだろう」という認識は通用しないのです。
開発において実装してほしいことは、どんなに細かいところでも明記する必要があり、それをきちんと伝えるコミュニケーションが求められています。
もし要件や仕様がきちんと委託先に伝わらなかった場合、出来上がったソフトウェアの品質が低下したり、やり直しが発生したり、結果としてコストが増大、納期の遅れにつながってしまうリスクは高まります。
為替や外交関係の影響を受けるリスクがある
オフショア開発は海外とのやり取りです。
そのため、為替や政治不安、外交関係の悪化といった影響を受けることがあります。
例えば、反日感情の強い中国などでは、過去に反日デモが起きるなど外交上の問題を抱えています。
親日国家として知られるミャンマーでは、軍事クーデターが起きて日本企業も大きな影響を受けました。
オフショア開発では、国際社会の情勢や委託先の内情などによって、インフラの足止めや経済活動の停滞などのリスクをはらんでいるということを念頭に置く必要があります。
オフショア開発を成功させるポイント
オフショア開発にはメリットもデメリットも存在します。
ではオフショア開発を無事に成功させるには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
発注前の準備を綿密に行う
オフショア開発では、正式に発注する前に準備を綿密に行っておくことが求められます。
言語や文化などの違いをきちんと理解し、仕様や指示を明確にしておくことは重要とされるポイントです。
日本人同士のやり取りとは違い、海外のエンジニアと仕事を進めるときには、いわゆる“暗黙の了解”は通用しません。
委託する内容は、具体的かつ明確に記載する必要があります。
仕様書に指示を記載すればいいというだけではなく、文化や価値観の違いがある相手エンジニアに、きちんと内容が理解されるような伝え方をするといった工夫が重要です。
オフショア開発先のエンジニアに理解しやすい仕様書は、作業効率を高め、やり直しや精度の低い納品といったリスクを避けることにつながります。
コミュニケーションをまめにとる
もちろん仕様書に記載すればOKということではなく、仕様書通りに業務が進行しているかを管理することも大切です。
そこで注目されるのが「ブリッジSE」です。
ブリッジSEとは、発注先である日本企業と、オフショア開発先のエンジニアの間に入り、業務を円滑に進められるよう管理・監督するキーパーソンです。
日本語や日本文化の理解はもちろん、委託先の言語や文化にも精通しているブリッジSEを橋渡しとして、現地エンジニアへの指示やテスティングなどができれば、オフショア開発の成功度合いは格段に上がることでしょう。
進捗と納期の管理に注意する
オフショア開発でよく問題となるのが、納期の遅れです。
海外では「納期に間に合わないから残業をして進めよう」といった概念がほとんどありません。
日本人が当たり前のように感じることが、海外では当たり前ではないのです。
お互いの国民性を理解することは、海外企業と一緒に仕事をする上で大切なポイントになります。
何かトラブルが起こったときには、時差などの関係から解決に時間がかかることも想定されます。
余裕を持った納期を設定し、現地エンジニアには前倒しした納期日程を伝えることも、オフショア開発成功のコツです。
ブリッジSEを通して、業務の進捗状況をこまめに確認しておくことも忘れないようにしましょう。
オフショア開発のご相談はMabuhayTechへ
オフショア開発は、不足するIT人材を補い、高騰する開発コストを削減できるシステム開発業務の海外委託です。
労働生産人口の減少に歯止めがかからない日本では、優秀なエンジニアを確保するのが困難になっています。
ベトナムやフィリピンといった東南アジアの国々では、国を挙げてIT人材の育成に取り組んでおり、優秀なエンジニアを日本よりも安い賃金で確保できることから、システム開発業務を海外に委託する企業が増えてきているのです。
ただし海外に開発業務を委託するということは、言語や文化の違いからくるコミュニケーション不足や外交関係によるリスクなど、様々な問題が生じる可能性もあります。
オフショア開発を成功させるためには、人件費の削減や優秀な人材の確保といったメリットだけでなく、デメリットにおいてもあらかじめ対策をしておくことが重要です。
MabuhayTechはフィリピンに拠点を置き、ソフトウェア開発やIT人材派遣をしている会社です。
親日家として知られるフィリピンには、ITに精通した優秀なソフトウェアエンジニアがたくさんいます。
英語が公用語として用いられているフィリピンでは、日常会話だけでなくビジネス英語が堪能なエンジニアも多いです。
さらにフィリピンと日本の時差は1時間と、コミュニケーションコストを最小限に抑えられる要素が多いメリットがあります。
MabuhayTechでは、フィリピンの優秀な人材と、エンジニア不足に悩む日本企業をつなぎ、雇用の創出とシステム開発という、双方にとっての明るい未来設計を目指しています。
提供しているサービスは、「受託型のソフトウェア開発」と「ラボ型開発のIT人材派遣」、どちらでも対応可能です。
もしリソース不足によってソフトウェアの開発がストップしているのなら、請負契約によるオフショア開発がおすすめです。
もちろん安全性と信頼性に優れた高品質のソフトウェア開発を、納得できる低コストで提供しています。
またひとつのプロジェクトだけでなく、中長期的に開発メンバーを確保できる、ラボ型開発の人材派遣サービスも行っています。
依頼する日本企業にとって必要なスキルとサポート体制を洗い出し、専属の優れたIT人材のマッチングもMabuhayTechの提供しているサービスです。
日本のIT開発の未来は、オフショア開発をうまく利用できるかどうか、この点は大きいと考えられています。
MabuhayTechがオフショア開発の成功をサポートさせていただきます。